映画:鑑賞録(2022年7月後半)

月ごとに観た映画の鑑賞録です。15日で前半と後半に分けています。
映画館、DVD、ネット配信のGYAOと、すべて混こぜです。
観る映画は監督で決めます。

評価は四段階で、

今回は2022年7月後半の観賞録です。

2022年7月後半の映画観賞録

タイトル監督評価一言鑑賞日
誘惑 ~あたしを食べて~佐藤吏舞台設定の湘南が物語と合っている。都会が近い雰囲気を感じさせ、爽やかな解放感と映像の色味にヌケ感を加えている。
童話のような印象を持ったのも、舞台設定だからか。顔への落書きや包の間違いも、ファンタジー。
店長の厚ぼったくない佇まいが作品の印象度の決め手。
2022/07/31
キャメラを止めるな!ミシェル・アザナヴィシウス約5億と低予算だが、それでもオリジナルと比べれば、お金をかけて制作しているという余裕感がでている。
この余裕感が、テンポ、スピード、切迫感を少なくしている。お金をかけてわざわざチープに仕上げようと。
見た目やポーズなどキャラクターの際立ち度が弱く、視覚的な面白味がなくなっている。
日本軍の研究所跡というが、無理矢理すぎ。現実には元競馬場。
ラストシーンは、家族を大切に思うフランス人らしさが、元作より印象深い?
2022/07/29
パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリストジェームズ・エルスキンドーピングがはびこっていると知りながら飛び込んだロードレーサーの世界。そこで名声を得たパンターニだが、勝ちたいという本能が結局は自分を陥れることに。その姿は、蠟で固めた翼で太陽に向かって飛んで行ったイカロスのよう。
分別を持った選手たちは知っていた”踏み込んではいけない領域”に、パンターニは踏み込んでしまった。
映画の冒頭で語られた、レースを数字と最新技術で戦う時代に移り変わったなか、彼だけは本能で走っていたという言葉が、全てを物語っている。
2022/07/20
エルヴィスバズ・ラーマン次々と映像を繋いでいく冒頭から、後半は人物の感情の揺れを描くドラマへと変化していく。
これが散漫にも一瞬思えるが、この見せ方で映像のリズム感と物語の時間短縮が成立している。ロバートアルトマンを思わせた。記録から現在の物語へと移り行くように。
映像の色彩設定の基調が暖色で、ノスタルジックがある。
音楽ではなく、プレスリーが身を置いてしまった状況を語ること主題。
2022/07/17

話題の新作を観る

それぞれ特徴ある映画を観た。作品が気に入る気に入らないで判断おらず、考察と分析が主体である。

これは鑑賞者というより監督の立場に身を置き、監督が作品をつくったのと同じように、作品を再現していくことを意味している。

このように映画を観ていくと、どの作品にもその意図が見えてくる。
何を目的にしているのか、誰に見てほしいのか、市場はどの程度なのか。そして監督の嗜好も映像からうかがえるようになる。

それが顕著に表れているのが、『キャメラを止めるな!』だろう。面白い面白くないで言えば、面白くない作品だ。
だがこのリメイク映画がなぜつくられたのか、誰を鑑賞者と想定しているのかは、画面に如実に出ている。

監督なり製作者なりのアイデアが何年もかけて上層部を説得したうえで、やっと撮影できるのが一般のハリウッド映画だ。これは人生のいっときをかけた一大プロジェクトとも言える。

『キャメラを止めるな!』はそれとは違う、ノリで”作ってみました♪”という作品だ。
元作の『カメラを止めるな!』との内容の比較うんぬんではなく、映画をつくるこの軽さが魅力の一つと言える。

お勧め映画

『ボヘミアン・ラプソディ』

ミュージシャンの伝記映画はたくさんあるが、やはりフレディ・マーキュリーの一生を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』が真っ先にあげられるだろう。
この作品は、イギリスのロックバンドQUEENのボーカルだったフレディとメンバーの出会いから、世界的なバンドへと進化していくまでの紆余曲折を描いている。

作詞、ボーカルと、天才の才能を如何なく発揮するフレディと、ブライアン・メイを始めとするメンバーとの仲たがい、そして和解。
エイズと向き合いながらも、ライブエイドで他を寄せ付けない圧倒的なライブパフォーマンスを魅せるフレディの凄さは、クイーンを今まで知らなかった世代をも惹きつけた。

『エルヴィス』がプレスリーの記録という意味合いが強いのとは違い、『ボヘミアン・ラプソディ』はまさしくQUEENの、そしてフレディの生き様を描いた伝記である。

映画が完成直前に、監督のブライアン・シンガーとプロデューサーの間で意見の対立があったようで、監督がすべてをディレクションした訳ではないらしい。せっかく監督が自ら企画した映画だけに、このあたりは残念で仕方がない。

しかし映画は体が震えるような興奮を与えてくれている。音楽の使い方も洒落ていて、サントラも素晴らしい。
日本でも公開から1年以上、全国のどこかで上映し続けられた、珍しい映画でもある。


『カメラを止めるな!』

フランスで制作された『キャメラを止めるな!』の元ネタの作品で日本の映画。フランス版は製作費5億円らしいが、日本のは250万から300万円と、20分の1ほどしかお金をかけていない。

それにもかかわらず、面白さは『カメラを止めるな!』のほうが上だ。画面の緊迫感もスピード感も勝っている。
十分に練られたプロットは当て書きされたらしく、台詞と人物のキャラクターが合っていて違和感ない。フランス版は、台詞にどこか”言わされている感”があり、脚本家の気負いが先走っている。

クオリティを追求したい気持ちを持ちならがも、手早い仕事を求めてくるプロデューサーに歯向かうことができない監督の神経をすり減らした顔などは、気弱な日本人だからこそ似合いもする。
そこをフランス人は、市民革命を起こした人たちだけに、気骨をもって一人でも乗り越えようとする。
この違いが、両作品の雰囲気を違ったものにしているように思えた。

今作にリピーターが出るのも、納得の結果だ。
映画館のスクリーンでなくテレビで観ても、十分に楽しめる一作とも言える。