映画:鑑賞録(2022年4月前半)

月ごとに観た映画の鑑賞録です。15日で前半と後半に分けています。
映画館、DVD、ネット配信のGYAOと、すべて混こぜです。
観る映画は監督で決めます。

評価は四段階で、

◎:愛した映画。絶対に映画館で観たいし、ネットでの再配信は必ず観る
〇:機会があれば映画館でみたい。ネットの再配信があれば優先して観る
△:あまり面白味を感じなかった。積極的には次回は観ようとはしないか
✕ :もう観返さない目印。しかし監督には関心があるから、今後、評価が変化するかも

今回は2022年4月前半です。

2022年4月前半の映画鑑賞録

タイトル監督評価媒体鑑賞日
コーダ あいのうたシアン・ヘダー映画館2022/04/15
瀧の白糸溝口健二GYAO2022/04/14
出来ごころ小津安二郎GYAO2022/04/14
アンビュランスマイケル・ベイ映画館2022/04/13
浮草物語小津安二郎GYAO2022/04/13
第七天国フランク・ボーザージGYAO2022/04/12
大人の見る繪本 生れてはみたけれど小津安二郎GYAO2022/04/12
赤い天使増村保造GYAO2022/04/11
英国王のスピーチトム・フーパーGYAO2022/04/11
スラムドッグ$ミリオネアダニー・ボイルGYAO2022/04/11
サムライジャン=ピエール・メルヴィルGYAO2022/04/10
TITANE/チタンジュリア・デュクルノー映画館2022/04/08
散歩する侵略者黒沢清GYAO2022/04/07
ミケランジェロ・アントニオーニGYAO2022/04/06
バグダッド・カフェパーシー・アドロンGYAO2022/04/06
マンハントジョン・ウー×GYAO2022/04/05
愛の嵐リリアーナ・カヴァーニGYAO2022/04/05
怒りの用心棒トニーノ・ヴァレリGYAO2022/04/04
新女賭博師 壷ぐれ肌三隅研次GYAO2022/04/04
Virginia/ヴァージニアフランシス・フォード・コッポラGYAO2022/04/02

古典から現代まで多様な作品を鑑賞

『怒りの用心棒』、『愛の嵐』、『バグダッド・カフェ』、『サムライ』など、何本も大好きな映画を観られたことに喜びを感じる。なかには古典とも言える作品も多かった。
現代のも昔のも映画は映画。同じ姿勢で鑑賞することが普通なので、たくさんの作品に触れられたが嬉しい。

劇場で鑑賞した『TITANE』は、クローネンバーグを観ているような感じ。こういう一般受けなど全く考えていない作品を映画祭の最高賞に選ぶところに、アートを国の根幹と考えているフランスの矜持を感じる。

『コーダ』は、フランス映画『エール!』を脚色した作品。家族観や体制への姿勢などに、アメリカの個を主張する生き方が見えたように思う。
我々からは、フランスもアメリカも個人を大事にする同じような人たちの国に見えてしまうが、実は二つは大いに違っている。その違いを、異文化を知るには最適な作品だろう。
アメリカ的にとても上手く作り直された映画だ。

お勧め映画

『愛の嵐』

シャープで冷たい顔のシャーロット・ランプリングが、ホモセクシャルっぽくて偏執的な温もりをもったダーク・ボガードの無表情さによって、氷が融けていくかのように自らを見出していく様が、美しい。

また、俳優のみならず撮影と編集が素晴らしい。二人を間近からその息遣いまでも、密かに覗いているかのような気にさせる。

リバイバル上映されたときに、渋谷だったか、劇場前にポスターが貼られていたのを見かけたことがあった。
黒い軍隊帽子を被り、上半身裸に黒のサスペンダーをつけたランプリンクの姿が、灰色の街並のなかで異様な存在感を示していた。

ヨーロッパ的な耽美さを、芸術として最も表している映画だ。


『赤い天使』

性、女、停滞感、憎悪などを他の誰とも違う表現で魅せる増村保造監督。その持ち味を存分に発揮しながらも、戦争の悲惨さを描いているのが今作。
ド派手な戦闘シーンはないが、やはり戦争とは悲惨な出来事であり、人類として二度と繰り返さないことだと思わせる強さがある。

スピルバーグや木下監督の反戦映画以上に、心の芯でそう決意させる第一級の反戦映画だ。
タイトルからは石井隆監督の名美シリーズを思い起こさせもするが、全くの別。

増村監督を深く知るに欠かせない一作。


『第七天国』

この作品を鑑賞できたことは幸運でしかない。感謝!
かつて劇場で満員の観客とともに隅の補助席に座り、エンドマークで万感の拍手が起きたときの体の震えが、よみがえってきた。

パリの下町で出会った男女の暮らしはロマンスに溢れ、童話をそのまま映画にした雰囲気に満ちている。

主人公を演じた二人の俳優は、この後もコンビを組んで何本もメロドラマ映画を世に送り出した。
そのうちに、チャールズ・ファレルが本当にジャケット・ゲイナー好きになってしまい、何度もプロポーズをくり返したらしい。だがその度に断られ、ずっと友人のままでいたという。
ゲイナーは女優として大成し、ファレルは実業と政治の世界へ進出して名をなした。現実の結末は、映画とは違った。

アメリカ的メロドラマ映画が成立しはじめた頃の作品だが、いまなお色あせない傑作である。
ボーイ・ミーツ・ガールの原点の一つと言える。