『読んだら忘れない記憶術』樺沢紫苑から、本の読み方と活用法を学ぶ

精神科医の樺沢紫苑氏の本『読んだら忘れない記憶術』

David MarkによるPixabayからの画像

YouTubeで活躍中の精神科医である樺沢紫苑氏。これまでに何冊も本を書かれており、10万部20万部というベストセラー作家でもあります。

いま本屋やアマゾンでは、タイトルに『●●大全』とつけられている本が目立ちますが、それは樺沢氏が自身の本につけた『アウトプット大全』が売れたからだと言われています。
『大全』ブームを起こしたのは、樺沢紫苑氏ということです。

またアウトプットやインプットも耳に馴染みがある言葉となっていますが、これも樺沢氏が本に書いてからです。

そんな樺沢氏が2015年に出版したのが『読んだら忘れない記憶術』です。
常々アウトプットが大事だと言われている樺沢氏が、インプットに関連している記憶についてどう考えているのだろうか?と思い読んでみました。

本を買う予算を決める

本は年間予算で買う『読んだら忘れない記憶術』樺沢紫苑
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書籍を買うとき、一冊ごとの価格を考えていたのではインプットが貧しくなると言います。
インプットとはアウトプットを前提にしているので、結果としてアウトプットも貧しくなってしまう。
自分を高めるためにインプットしようとしても、これでは望んだ結果と真逆にしかなりません。

そこで樺沢氏は、こんな提案をしています。

年間予算で買う

例えば3万円分のAmazonギフト券を購入して、マイアカウントに入れておく。そして気になった本があれば、その場で購入していくと。
すでにお金はギフト券として支払っているので、財布の中を気にする必要がなくなるわけです。

一冊で元をとろうと思わない

ビジネス書などの本を読みなれていないと、どうしても購入した本一冊だけで今の疑問を解決しようとしがちです。
でも実際、それは難しいと言えるでしょう。

同じ系統の本を何冊か読んでみて、そのなかで共通している部分や違っている部分を見つけてみる。その繰り返しが知識として頭に吸収されていくと言うのです。

だから一冊だけ読んで元を取ろうとしてはいけない。そんなケチ臭い考えでは、頭に思い描いていた結果など望めるわけがないと。

最終的にはアウトプットが大切なので、そのためにトータルで元をとる。
つまり年間で予算を決めて本を何冊も買えば、自然と知識が吸収され、かつそれは整い体系だったものになると言うのです。

また年間予算で本を買うことには、別のメリットもあると付け加えています。

買う買わないと迷う時間を時給で計算する

本を一冊買っただけで元をとろうと思わないこと『読んだら忘れない記憶術』樺沢紫苑
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日本のサラリーマンの収入を時給で計算すると、平均2千円だと言われています。
これは正社員の場合なので、契約社員や派遣社員、またパートやアルバイトなどだともう少し低くなるでしょう。

この時給2千円の人が仮に一冊1,500円の本を買うのに10分間迷ったとすると、それは330円の損失に相当します。
20分なら66円。30分だと990円。40分だと1,320円。50分も迷っていれば本の価格以上になってしまいます。

こう考えると、迷いとは何と高い物かが数字で理解できます。果たして、この迷う行為は価値を生み出しているのでしょうか?

そこで樺沢氏は言います。本を買うか買わないかは1分で決めろと。
迷いに対するこのような発言は、一流ビジネスマンや講演家にもよく見られるものです。
彼らはいかに時間が貴重なのかを、数字(=お金)に換算して判断しているのです。もしかすると、その数字は人生の残り時間とも言い換えているのかもしれません。

言ってしまえば、ほんの1,500円程度です。買って損したとしても、取り戻せない金額ではありません。そんな失敗を重ねながら、だんだんと本の役立ち度を判断できるようにもなっていくのでしょう。
買う買わないの迷いは1分まで。

学びをSNSでアウトプットする

本を読んだらアウトプットすること『読んだら忘れない記憶術』樺沢紫苑
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樺沢氏は、読んだ本で勉強になった、心に響いた1、2行を感想とともにSNSに投稿することを最も簡単なアウトプットとしてすすめています。

SNSにはいろいろありますが、なかでも手軽なのとしてTwitterを取り上げています。
アウトプットとしていきなりブログに書くとなると、ハードルが高すぎる。まずはアウトプットに慣れることからはじめましょう。

アウトプットのスタートはTwitterが最適

最大でも140文字という制限があるTwitterは、アウトプット初心者に最適なのだと言います。

この発言は、肩の荷を下ろしてくれるような、そんな気分にさえしてくれるのではないでしょうか。
YouTube動画でも樺沢氏は、目標は小さすぎるくらいが丁度良いと繰り返し言っています。達成できるくらい小さな目標で構わないと。

Twitterで読んだ本の感想を書くのは、この小さな目標にピッタリなのではないでしょうか。
そのときには「面白かった」「つまらなかった」だけでなく、”どんなところが”という自分なりの意見を一言付け加えることも忘れないようにとのことです。

不安の正体とは?その最適な対策とは?

不安はあって当然『読んだら忘れない記憶術』樺沢紫苑
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ところで、この本は記憶術についてなわけですが、精神科医らしく不安についてもページを割いています。
そして不安に効果的なのがアウトプットだと言うのです。なぜでしょうか?

不安は偏桃体が興奮している状態

メンタルの研究者として世界中の論文を数多く読まれたことから、樺沢氏は不安とは脳の偏桃体(へんとうたい)が興奮している状態だと述べています。
偏桃体の興奮スイッチがオンになると、精神は不安になって物事をいつも悪く考えがちになると言うのです。そしてこれがうつ病だと言います。

偏桃体とは感情に関連した脳の器官であり、人間が本能的に持っているもの。そして不安とは偏桃体が発する、生物としての自己を危険から守る役目をしていると。
だから不安そのものは人間にとって悪いものではなく、むしろ生存のためには欠かせないものであった、かつては。

しかし脳は発達し、言語を持つようになった現代の人間にとって、不安は逆に明確に言い表せない未知な物になってしまっている。だから厄介なのだと言うのです。

アウトプットは不安を消す最良な方法

本能の働きである不安をなくすには、言語情報を取り入れることが最適だと言います。つまり情報が足りないから不安になるのだと。

情報を取り入れる最も簡単な方法が、本を読んだり、誰かの話を聞くことです。
そして得た情報を、今度は他の誰かに話す。この積み重ねが、記憶していくことにつながると言います。

こう見ていくと、樺沢氏がこの本で書いていた

  • 年間予算で本を買う
  • 一冊ではなく、トータルで元をとると考える
  • 迷いは1分まで
  • 学びをTwitterなどに書く

などは、不安を解消するためにも大いに役立つということが分かってきます。
記憶術の方法が不安を消すのにも効果的だというのは、ビジネスマンや自己啓発家では思いつけないでしょう。精神科医であるからこそ言える、樺沢紫苑氏ならではの発言ではないでしょうか。

この本はこんな人にオススメ

樺沢氏には『大全』と名づけられた本が何冊もあり、全体像を知り学ぶにはそちらがおススメです。
しかし、学びの根幹とも言える”記憶する”に特化した『読んだら忘れない記憶術』は、樺沢”学”を知るスタートとして相応しいのではと思います。

学びをえたいけどその最初でつまづいている、どんな方法から試すのがよいかも分からない、そんな人にとっては大いに役立つのがこの『読んだら忘れない記憶術』です。